Kutani Ware Ginger Jar - Japanese Kutani Store

九谷焼ジンジャージャー|蓋付壺

ジンジャージャーの歴史は、遥か昔、中国の秦の時代にまで遡ります。もともとは塩や香草、そしてスパイスといった日用品を保存するための「生活の道具」として誕生しました。

中国では「缶(グァン)」と呼ばれていたこの丸みを帯びた蓋付きの壺は、中国と西洋の間で生姜(ジンジャー)の貿易が主要な輸出産業となった際に、保存容器として使われました この貿易をきっかけに、西洋では「ジンジャージャー(生姜の壺)」という名前で定着しました

特徴 丸みを帯びた豊かな曲線を持つ胴体と、ドーム型の蓋、あるいは小さな口を持つ装飾的な形が特徴です この伝統的な形状に、九谷焼の職人たちが「九谷五彩」や「赤絵金彩」といった華やかな絵付けを施すことで、単なる保存容器は目を見張るような芸術品へと進化しました

かつての保存容器は、今や家庭を彩る「美の象徴(アセティック・ディスプレイ)」として、世界中のインテリア愛好家に愛されています 特に歴史的な価値を持つヴィンテージ品や、名立たる窯元が制作した一点ものは、非常に貴重なアーティファクト(工芸遺産)と見なされています 。現在では、多くのコレクターが多額の資金を投じる、価値ある投資対象となっているのです

 

九谷焼の歴史

九谷焼の歴史は、約350年前に遡ります。1655年、大聖寺藩の初代藩主・前田利治が、石川県九谷の地で陶石が発見されたことに着目したのが始まりです。彼の命を受けた後藤才次郎が肥前(有田)で陶技を学び、九谷の地に窯を築きました。
ここで焼かれた「古九谷(こくたに)」は、その力強い様式で一世を風靡しましたが、1700年代初頭、なぜか突如として窯が閉じられてしまいます。その理由は今もなお、歴史の謎とされています。

古九谷の終焉から約100年後、石川の地で再び九谷焼の情熱が再燃しました(再興九谷)。吉田屋窯、宮本屋窯、永楽窯といった名だたる窯元が次々と誕生し、それぞれ独自の色彩とデザインを花開かせました。
1873年のウィーン万国博覧会への出品をきっかけに、九谷焼は「ジャパン・クタニ」としてその名を世界に轟かせ、海外への輸出も盛んに行われるようになりました。

九谷焼は、その多様な装飾技法で知られています。

古九谷・木米風(もくべいふ) 緑・紺青・紫・赤・黄の5色(九谷五彩)を用いた大胆な様式。

吉田屋風 赤を使わず、青(緑)・紫・紺青・黄の4色で塗り埋める重厚な様式。

飯田屋風 赤を主調とした繊細な描き込み(赤絵)が特徴。

永楽風(えいらくふ) 赤地に金彩を施す、豪華絢爛な様式。

海外で「ジャパン・クタニ」として知られる中、2017年には新たな九谷焼のシリーズが人気を集め始めました。「ハレクタニ」です。「九谷焼をよりカジュアルに、日常の中に」というミッションを掲げ、急速に人気を集めています。

伝統的な「和絵具」や「九谷五彩」といった確かな技術を継承しつつ、現代のライフスタイルに合う斬新なデザインと形状を提案しています。

オリジナルの愛らしいボックスや、日本伝統の「風呂敷」でのラッピングにも対応。結婚祝い、誕生日、記念日など、あらゆる特別な日の贈り物に最適です。

 

九谷焼ジンジャージャー

ジンジャージャーはその色合いや紋様(モチーフ)によって、いくつかの代表的なスタイルに分類されます。

世界的なジンジャージャーのスタイル

ブルー&ホワイト(青花)白地に青一色で描かれた、最も伝統的でタイムレスなスタイルです。

ファミーユ・ヴェール(五彩)16世紀頃に登場した、緑の色彩を基調としたスタイル。

ファミーユ・ローズ(粉彩)18世紀頃から広まった、不透明なピンク色を用いた優美なスタイル。

伊万里(イマリ)日本を起源とするスタイル。17世紀から19世紀にかけて伊万里港がヨーロッパへの輸出拠点となったことからその名がつきました。青、赤、金を用いた華やかな色彩が特徴で、清朝の康熙(こうき)時代の磁器制作にも影響を与えたと言われています。

 

しばしば混同される「ジンジャージャー」と「テンプルジャー」ですが、形状には明確な違いがあります。

ジンジャージャー 丸みを帯びた形状、広い肩、そして小さな口が特徴です。蓋は伝統的にシンプルなドーム型で、余計な装飾はありません。

テンプルジャー(寺院壺)蓋の頂点に突起状の装飾があり、底部に向かって魚の尾のように広がる「フィッシュテール」形状をしているのが一般的です。

 

日本には伊万里焼をはじめ、地域ごとに特色ある32以上の主要な陶磁器産地があります。その中でも石川県の九谷焼は、力強い色彩と独創的なデザインで、ジンジャージャーの世界に新たな価値をもたらしました。

ここでは、日本が誇る九谷焼のジンジャー・ジャーをご紹介します。

 

アンティーク九谷焼 ジンジャージャー

通常のジンジャージャー(蓋付壺)とは一線を画す、愛らしい「かぼちゃ型」のフォルムが最大の特徴です。さらに、三本の脚で支えられた「三足(さんそく)」仕様となっており、コレクターの間でも滅多に目にすることのない大変珍しい一品です

白磁を背景に、熟練の職人が手描きで施した赤の繊細な絵付けが目を引きます。これは「飯田屋風」など、九谷焼の歴史の中で愛されてきた伝統的なスタイルを彷彿とさせます

蓋も本体と同様のテーマで彩られており、作品全体として完璧な調和を保っています

ご自宅のインテリアに時代を超えたエレガンスを添えるアイテムとして、あるいは特別なコレクションとして、ぜひこの機会にお迎えください。

 

アンティーク九谷焼 花瓶

1950年代後半から1960年代にかけて作られた、非常に希少なヴィンテージの九谷焼花瓶です。入手困難な一点ものとして、コレクターの方にも自信を持っておすすめできる逸品です。

オフホワイトの磁器肌をベースに、手描きで「飾枠(カルトゥーシュ)」が施されています。表面には「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる繊細なひび割れ模様(クラックル釉)が広がり、ヴィンテージならではの深い味わいを醸し出しています。ダークオレンジ、緑、青、黄、白、そしてピンク。多彩な和絵具を駆使して描かれた花々は、九谷焼が350年以上の伝統の中で培ってきた色彩美の集大成です

花瓶の縁取りや花々の輪郭には、本物の金が贅沢に使用されています。金の輝きが色彩をより一層引き立て、気品あふれる華やかさを演出しています。

 

ヴィンテージ九谷焼 ジンジャージャー

1930年代に制作された、金彩の輝きが目を引く豪華絢爛な九谷焼のジンジャージャーです。器全体にメタリックな金色の背景が施されており、1930年代当時の装飾的な美意識が凝縮されています 。蓋には金色の下絵付けと共に、重厚なテクスチャ(凹凸のある質感)が加えられており、手に取った際の存在感は格別です

本体の前面と背面には、二人の従者に仕えられる芸者の姿が描かれています 。この伝統的な風俗図は、九谷焼のアーティストたちがその才能を駆使して描き出す傑作の一つです

残りの部分には、ピンク、黄、白、緑、アクアブルーといった様々な色を用い、立体感のある花柄や幾何学模様が器全体を埋め尽くすように描かれています。

日常を彩るインテリアとしてはもちろん、1930年代の歴史を今に伝える貴重なヴィンテージ・コレクションとしても、非常に価値のある工芸品です。

九谷焼 蓋付小壺「花鳥図」

手のひらに収まるような愛らしいサイズ感と、洗練された絵付けが魅力の九谷焼ジンジャージャーです。本体の高さが約10cm、蓋を含めた高さが約11.5cm、直径は約10cmです。

白地をベースに、緑、ピンク、金の色彩で描かれた花々のアクセントと、枝に止まる二羽の鳥が調和した、非常に目を楽しませてくれるデザインです。

ヴィンテージ九谷焼 赤絵金彩花文 蓋付壺

19世紀(明治時代頃)に制作された、目を見張るほどに美しい九谷焼のジンジャージャーです。対(ペア)で揃った非常に希少な一品です。金彩を施した花々の図案が、手描きで非常に細密に描かれています。

白地をベースにメタリックな赤の色彩が配され、それが金彩を際立たせ、さらなる気品を添えています。

 

まとめ

九谷焼が真に伝統を受け継いだ本物であることを証明するために、すべての製品の底面には「銘」が入れられています。多くの場合は筆による手書き(描き銘)ですが、作品によっては彫り込み(刻み銘)や型押し(押し銘)によるマークも見られます。底面に記されるのは「九谷」という産地名、あるいは制作した「アーティスト(陶工)の名前」や「窯元の名称」です。

しかし、産地名がなく作家の銘のみが記されている作品もあります。そのため九谷焼の正確な出自を特定するには専門的な知識が必要になる場合もあります。

上の図(写真)は、実際に見られる様々な九谷焼の銘のバリエーションを例示したものです。この底面の印やサインこそが、職人がその品質に責任を持ち、情熱を込めて作り上げた「ジャパン・クタニ」であることの何よりの証言なのです。